XCSoar for KOBO

電子ブックリーダーの楽天KOBOでグライダー用のフライトコンピューターアプリXCSoarが動作すると聞いて試してみる事にしました。
スマホをメインのフライト電子ツールとして利用するに当たり様々なアプリを試した結果、最終的にXCTrackに落ち着きましたが、 グライダー用とは言え細かい設定でカスタマイズすればXCSoarも十分パラグライダーに適用できそうだったので試してみる事にしました。
何よりも電子ペーパーの抜群の視認性とKOBOの価格に引かれました。

使用したのはヤフオクで送料込み1900円で購入した新古品の KOBO Touch (N905-KJP-S)です。
ファームウエアバージョンはN905Bになります。

これをフライト電子ツールに仕上げるにはそれなりの手間がかかります。
1. KOBOに内蔵されたµSDカード2GBを32GBに増設する。(4GB~16GBでも可)
1.1. KOBOの裏ブタを取り外す。
・隙間に精密ドライバー(-)を差し込んで抉る様にして開けます。
・スイッチの有る角付近が比較的開け易いのでそこから徐々に全周に広げていくと良い。
・裏ブタを開けた後は内部の短絡や静電気に十二分に注意が必要です。
1.2. µSDカードホルダーを開いて2GBのµSDカードを取り出す。
・下図①②③④の手順で金具を動かして開きます。

1.3. 2GBのµSDカードをバックアップする。
・DD for Windows (Ver.0.9.9.8) を使いました。
si-linux.co.jp

1.4. 32GBのµSDカードをフォーマットする。
・FAT32でフォーマットします。
1.5. 32GBのµSDカードに2gbのµSDカードのバクアップデータをコピーする。
・DD for Windows (Ver.0.9.9.8) を使いました。
1.6. 32GBのµSDカードのパーテーションを拡張する。
・MiniTool Partition Wizard を使いました。
PartitionWizard.jp

1.7. XCSoar X.XX on KOBO をダウンロードする。
XCSoar Download
1.8. ダウンロードした KoboRoot.tgz を 32GBのµSDカードのディレクトリ .kobo にコピーする。
1.9. 32GBのµSDカードをµSDカードホルダーに取り付ける。
2. KOBOにGPSユニット及び気圧センサを接続する。
2.1. KOBOから必要な電線を取り出しコネクタに接続する。

  ・USB Power(5V)及びSwitched Power(3.3V)はGPS及び気圧センサーの電源用です。
  ・Backup Power はGPSのバックアップ電源用です。
  これらは必ずしも必要ありません。
2.2. KOBOの裏ブタから電線を出す為に裏ブタを加工する。

2.3.KOBOの裏ブタを取り付ける。
3. XCSoarを設定する。
3.1. XCSoar のマニュアルに目を通してくと良い。
  Ver 7
  Ver 6.4 日本語版
3.2. 日本の地図をダウンロードする。
  ・北海道マップ
  ・マップジェネレーター
  緯度経度が負になった時は360を加えて正にする必要があります。
3.3. GPSの設定をする。
  ・KOBOとPCをUSBケーブルで繋いでKOBOを起動する。
  ・XCSoarの起動画面で Nickel をタップしてPCでµSDメモリの編集が出来るようにする。
  ・ディレクトリ XCSoarData に地図(.xcm)をコピー
  ・ファイル default.prt を次の様に修正する。
    LoggerTimeStepCruise="1"
  ・KOBOを再起動します。
3.4. XCSoar を設定する。
・XCSoarの起動画面でFLYをタップしてからメニュを開きます。
・メニュー/Config/DevicesGPS を選択してGPSの接続を確認します。Edit をタップして通信速度の変更ができます。
・メニュー/Config/System/SiteFiles を選択して地図を選びます。

4. GPS及び気圧高度計の取付
4.1. 使用モジュール
  ・GPSモジュールはAE-GPS

・気圧センサー用マイコンはRP2040
・気圧センサーはLPS25HB
・スピーカーアンプはPAM8012
・スピーカーはHDR9350
4.2. 回路

4.3. ソフトウエア開発環境
  ・Arduino IDE
4.4. ケース
  ケースは光造形3Dプリンターで製作しました。

5. インプレッション
 見易さは抜群ですが、パラグライダーにはXCSoarが使い難いのは否めません。
 最も残念なのは、離着陸の判定が対地速度だけの様で、フライト中に勝手に着陸した事にされてしまうのが、どうにもこうにも気持ち悪い。
 Hisense A5 や YotaPhone2 など海外にはEInkを使用したスマホもあるので、これらの中古が安価に入手できるなら、 XCTrackが利用できるのでその方が良いと思います。
 作っては見たものの使用機会はあまりなさそうです。